

守口市西郷通の商店街に、「とうふの喜八」を訪ねた。昨年12月にオープンしたばかりの真新しい「豆腐・湯葉と京野菜の店〜大豆ギャラリーKihachi」と、奥に豆腐づくりの機械が見える昔ながらのお豆腐屋さんが隣接してあった。最近は、スーパーなどに押されて、町の豆腐屋が減っているというが、喜八の豆腐は今やブランド化し、阪神百貨店など大手百貨店の地下食品売場で販売されている。代表の岩佐忠氏は それを「自分の生きざまの全てともいえる、豆腐作りへのこだわり」によるものと語る。つまり、国産大豆しか使用しないことや伝統的にがりへのこだわりなど、真にお客様に喜ばれる豆腐作りだけを考えてきた結果だというのだ。
さらに岩佐氏は「どんな市場にも“すき間”があります。そこが、個店の長年のノウハウが活かせるオンリーワンの領域。オンリーワンも続ければ、ナンバーワンになれることもありますから。例えば、工場のように24時間作り続けることはできないけど、毎日、来店されるお客様の分だけ、少しずつ作ることはできる。大手チェーン店のように遠くまで運べなくても、店の近くのお客様にお届けできる分があればいい。つまり、自分の手の届く範囲の中でやればいいんです。選ぶのはお客様ですから。だからこそ、私は“おいしい”“安全”にこだわります。“安い”にこだわられるお客様はスーパーで買ってもらえば良い。それが棲み分けです」と語った。
驚くのは、「喜八」というロゴも、CIやブランドという言葉が取り沙汰されるずっと前、30年も昔につけられたものだということだ。実直な職人魂にあやかろうと、茅葺き職人だった曽祖父の名前をもらったものだとか。こうした岩佐氏のマーケッター顔負けの 店づくりは「頭で覚えたことでなく、長年の経験から体得し実践されているものだけに重みがあるし、学ぶ点が多い」と北口サブマネージャーは語る。
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大阪府守口市西郷通1-3-8
TEL.06-6991-5612
FAX.06-6991-5613
営業時間:午前10時〜午後8時
(月曜日定休) |

個店が勝つためには? 岩佐氏に尋ねてみた。「まずは、地域に根ざしたコミュニケーション。お店に顔を出してくれたお客様と言葉を交わす。町内会にも積極的に参加する。スーパーにはできないことですよね。そして、売り手の都合でなく、お客様に合わせること。私はよくコンビニに行き、今は何が売れているか勉強します。それを自分の商売に転換したら、何があるか考える。それでイタリア風豆腐を作ったこともありますが、それはいわば掴み。来店のきっかけになればいいんです。また、売れないからといって、価格を下げるのは間違い。価値ある商品を、価値ある価格で売ることです。そのためには、自分の仕事に誇りを持たなくては」。そう語る岩佐氏が現在取り組んでいるのが「喜八塾」である。「喜八塾」では、同業者に技術とともに、豆腐づくりが誇りの持てる仕事であることを伝え、また、小中学校や高校などの若い世代に豆腐作りを知ってもらうための講演や見学も行う。また、真摯に豆腐作りを行う職人さんに「豆腐マイスター」の称号を与える制度も提唱している。
北口サブマネージャーは「さまざまな媒体からの情報で、消費者が賢くなっている一方、個店の多くは既成の市場の中に安住し、時代の変化の兆しをキャッチするのが遅れてきた。情報の感度を高めることが大切なんです。岩佐さんは、消費者が今、何を求めているのか。そして自分の店がそれにどう応えられるか。それをきちんと掴み、実践できているからこそ、今日の成功があるのでしょう」と分析する。
 21歳で「岩佐豆腐店」を開業。27歳の時に、屋号を「喜八」に改めた。NHK朝の連続テレビ小説『ふたりっ子』で制作協力をした豆腐屋さんということでマスコミにも紹介される。豆腐作りの後継者育成のための取り組みなどが、異業種からも大変注目され、今や全国から講演や見学の依頼が後を絶たない。
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● お客様が真に求めているものを提供できる店づくり
● 大手が不得意とする「すき間」をねらう
● 価値あるものを価値ある価格で売る
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